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相続を不正やトラブルから守る『相続欠格』と『相続廃除』とは

2021.04.14 | お知らせ

   相続はどうしてもお金が絡むため、思いも寄らぬ揉めごとが起こることがあります。たとえば、子どもの1人が父親に自分に有利な遺言書を書かせるため、父親を言いくるめるようなケースはめずらしくありません。今回は、このようなケースに対応するための『相続欠格』と『相続廃除』という制度についてご説明します。

相続を不正に操るのはNG!相続人から相続権を奪う『相続欠格』

   相続欠格は、ある人の相続に関して不正をはたらいた人などから相続権を失くし、相続人になることをできなくする制度です。相続欠格事由として該当するのは、次のようなケースです。
●故意に被相続人または相続について、先順位もしくは同順位にある者を死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられた者
●被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴や告発をしなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき(まだ子どもの場合など)、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であった場合は例外となる
●詐欺や強迫によって、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取り消し・変更することを妨げた者
●詐欺や強迫によって、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取り消し・変更させた者
●相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者
 たとえば、法定相続人の1人が、自分に有利な遺言書を作らせるために被相続人を騙したり、脅したりした場合には、相続欠格事由に当てはまる可能性が高いということになります。

相続にふさわしくない相続人は相続廃除することができる

   民法に定められている相続欠格の事由に該当したら、相続権が剥奪されます。そうすると最初から相続人ではなかったことになり、遺留分も認められません。また、被相続人から遺贈を受けることもできなくなります。では、本来ならばその人が有したはずの相続権がどこに行くのかというと、欠格によって相続権を失った人に子どもがいた場合は、その子どもが代襲相続人になり、欠格者に代わって相続権を得ることになります。
 

   相続欠格に似たものに『相続廃除』というものがあります。これは、被相続人が相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりした場合などに、被相続人が申し立てれば、その相続人の相続権を奪うことができる制度です。主に次のようなケースが該当します。
●被相続人の財産を不当に処分した
●被相続人に多額の借金を支払わせた
●浪費、遊興、犯罪などの親不孝行為
●財産目当ての婚姻関係や養子縁組 
 

   相続欠格では、欠格事由に該当すれば自動的に相続権が剥奪されますが、相続廃除は被相続人が家庭裁判所に申し立てたり、遺言書に書き残したりすることで効果を生じます。ただし、相続廃除の対象は遺留分を有する相続人のみとなるため、遺留分が認められていない兄弟姉妹には、相続廃除はできません。
 

   相続人から相続権を剥奪できる相続欠格と相続廃除。問題なく相続を進められるのが一番ですが、被相続人を守り、納得のいく相続にするためにも知っておきたい制度といえるでしょう。

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