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離婚が先か贈与が先か?配偶者に財産を渡す際の流れ

2022.06.15 | お知らせ

   夫名義の自宅不動産を妻に生前贈与したのち、間もなく離婚することになってしまった場合、渡した不動産に関する贈与税は課税されるのでしょうか? もしくは、離婚後に不動産を贈与する方が理想的なのでしょうか。渡すタイミングによる課税金額の違いについて解説します。

夫婦間の贈与にも贈与税はかかる

    誕生日やクリスマスなど、配偶者にプレゼントを贈る機会は都度ありますが、夫婦間の贈与にも贈与税はかかります。ただし、全てに対してではありません。
 夫婦間や家族間にはお互いに扶養義務があるため、原則として、生活費や教育費に充てるための財産で、その人が暮らすために必要な範囲であれば、夫婦間の贈与に贈与税はかかりません。しかし、不動産のような高額な財産となれば、暮らしに必要な範囲とはいえないため、基本的には課税対象となります。
 ただし、贈与税には『配偶者控除』が設けられており、基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円の配偶者控除が受けられます。
 贈与税の配偶者控除が適用される要件は、以下のとおりです。
●婚姻期間が20年以上であること
●その夫婦が今までに配偶者控除を受けていないこと
●居住用不動産または居住用不動産を購入するための資金のいずれかの贈与であること
●贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、その後も居住し続ける見込であること
●贈与税の申告をすること
●法施行地に有する土地等又は家屋であること
 ただし、贈与税の配偶者控除は結婚している間の贈与に対して適用されます。離婚したあとで自宅不動産を元配偶者に贈与する場合は控除措置の対象外となり、定められた贈与税がかかります。

離婚時の財産分与には、原則として贈与税がかからない

    このように、夫婦間で行う不動産の生前贈与は、離婚前に贈与したものか離婚後の贈与となるのかによって、贈与税の額が大幅に変わってきます。
 したがって、配偶者に不動産を渡す意思がある場合は、離婚時の財産分与が有効です。なぜなら、離婚時の財産分与には、基本的に贈与税はかからないからです。婚姻中に築いた財産は夫婦の共有財産であり、離婚後の生活に必要なものとして扱われます。離婚時に金品を渡す場合は『贈与』ではなく『分与』の扱いになります。
財産分与請求権には離婚してから2年の除斥期間が定められています。また、財産分与のつもりでいても、状況によっては贈与と見なされることがあります。以下に当てはまるケースでは、離婚時でも贈与税が課税されることがあります。

●分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や、その他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる金額の場合 ※多過ぎる部分が課税の対象となる
●離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合,

また、財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われることになります。
 
「贈与に関する知識不足のために贈与税の対象となってしまった」となるケースは少なくありません。一度贈与したものを取り消すことはできないので、夫婦がお互いに贈与に関する知識を知っておくことが大切です

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