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遺言書に有効期限はあるのか  忘れてはならない注意点

2021.07.14 | お知らせ

 遺言書なんて、そう何度も作り直すものではないと思っている方も多いかもしれません。
しかし、ずっと前に作った遺言書を、そのまま放置すると、トラブルになってしまうことがあるので注意が必要です。
今回は、遺言書の有効期限について解説します。

さまざまな契約にある有効期限、遺言書ではどうか?

 一般的に、借金には時効が存在します。たとえ、お金を貸して督促しないまま一定期間が経つと、貸主の請求権が消滅してしまうのです。これが時効(消滅時効)です。

 一方、遺言書には消滅時効や有効期限はありません。書いた人が何年前に作成したとしても、ずっと効力があります。ただし、以下のように制度的に遺言書が効力を失うケースも存在します。

●何通も遺言書を作成したケース
 遺言を書く人が何回も遺言書を作成した場合、従前の内容と抵触する部分については、最新のものが効力を持ち、それ以前に記載された抵触する部分は効力を失います。

●保管期間経過後の公正証書遺言
 公正証書遺言は公証役場で保管されるため、書き手にとって不本意な破棄や偽造のリスクがありません。しかし、公証役場での保管期限は、法律では原則20年と決まっていますが、特別な事由(生存)により保存の必要があるときは保存義務があるので、公証役場によっては、遺言者が120歳になる年齢まで保管されます。保管されていれば、紛失しても謄本の取得が可能ですが、保管期間経過後に紛失した場合は、その内容を証明することができなくなります

遺言書は数年ごとに書き換えを 古すぎる遺言書の問題点

 遺言書は、『書いた人が死亡した時から効力を生ずるもの』です。したがって、まだ効力のないものに、有効期限や時効といった概念を当てはめるのは、そもそもそぐわないといえます。
100歳で亡くなった人が60歳の時に書いた遺言書であっても、民法の規定に則っていれば、遺言者の死亡の時から効力を生じます。
 ただ、いくら有効でも、古すぎる遺言書にはさまざまな問題があります。たとえば、相続人に指定した人が亡くなっていたり、子どもに相続させると書いておいた預金を使ってしまっていたりすることもあります。ほかにも遺言書作成後に取得した財産や、遺言書に記載がない財産については、遺産分割協議が必要となります。
 こうしたことから起こるトラブルを避けるためにも、遺言書を作成したら、数年ごとに見直し、書き換えたほうがよいでしょう。
 ちなみに、遺言書を自宅に保管しておくのが不安な場合には、次のような手段を利用することができます。
●法務局で保管してもらう(自筆証書に限る)
●公正証書遺言にして、公証役場で保管する
●弁護士、司法書士などの第三者に預ける
●遺言信託を利用し、信託銀行などに預ける

 民法に則った遺言書に、有効期限はありませんが、記入した内容は古くなっていきます。数年ごとに書き換えるか、書き換えなくてもよい内容にするなどの工夫が必要です

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