土地の相続対策にアパートを建設。 節税のしくみと意外な落とし穴とは?
スタンダードな相続税対策として、住宅ローンなどの借入金を利用し、未活用の土地の上に、賃貸アパート・マンションを建てる方法があります。土地とお金を『賃貸物件』に変え、相続時の評価額を下げることで節税につなげることができます。いまは低金利でローンを組むことができますが、実は意外な落とし穴もあります。くわしく見ていきましょう。
なぜ節税効果があるのか. 借り入れで建てた賃貸物件
借り入れたお金を投資して、持っている土地に賃貸物件を建てた場合、相続税上の建物評価額は固定資産税評価額ベースで算出されることになります。さらに、持っていた土地の評価額も『貸家建付地』として評価し直されます。これらにより、お金・土地の形で財産相続するのに比べ、税負担をかなり少なくすることができます。
このように、仕組みだけ見ているとメリットばかりのように見えますが、賃貸物件を保有するとなれば、そこにはリスクが存在します。具体的には、『賃貸物件の経営にかかるリスク』と、『ローン金利の変動リスク』、『長生きリスク』です。順に説明していきます。
思いがけない落とし穴。 赤字になる前にしっかり検討を
では、相続税対策のために賃貸物件を建てた場合、どんなリスクがあるのでしょうか。
・賃貸物件の経営にかかるリスク
高いお金を投資して建てたのに空室が多い、設備の不具合やリフォームで一度に多額のお金が飛ぶなど、経営が危うくなることもあります。
・ローン金利の変動リスク
いまは未曽有の低金利ですが、この状態がいつまで続くのかは誰にもわかりません。金利の変動で返済が大変になる可能性もあります。
・長生きリスク
そもそも相続間近だと思って賃貸物件を建てたのに、相続までの期間が長くなり、設備や建物の減価償却が進んで税金が増えて、支払うお金が増えてしまうといったリスクも存在します。
このように、住宅ローンを組んで賃貸物件を建てるという方法は、有効な節税方法である反面、状況によってはマイナスにも転びかねません。
「本当に借金をしてまで賃貸物件を購入して大丈夫か?」は慎重に判断しましょう。
ちなみに、よくある勘違いのパターンが「借り入れ金があるから相続税が減る」と思ってしまうこと。
確かに、借りたお金はマイナスの財産ですが、自己資金を投下して不動産を購入するのと相続上では変わりがなく、課税額も変化しませんので、注意しましょう。
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