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うまく利用できれば節税効果あり!自宅相続における配偶者居住権

2021.05.26 | お知らせ

 残された配偶者が被相続人の所有する建物に居住していた場合に、被相続人が亡くなった後
も安心して自宅に住み続けられる権利である『配偶者居住権』。これは、残された配偶者がいま
まで通りの生活を送れるようにするための方策の一環ですが、相続税の節税手段としても使え
ることがあります。今回は、配偶者居住権と節税の関係について紹介します。

利用権と所有権を分ける!配偶者居住権とは

 配偶者居住権とは、被相続人が所有していた自宅に、被相続人が亡くなった後も配偶者が一定期間、または生涯住み続けられる権利のことです。

法改正によって、所有権と配偶者居住権を分けて相続することができるようになったため、自宅の所有権が子どもや親戚などの第三者に渡ってしまっても、配偶者は賃料の負担なく住み慣れた住居に住むことができます。
この配偶者居住権が、相続税の節税になるといわれていますが、具体的にはどのような場合のことをいうのでしょうか。

それは、二次相続を行う場合です。父親が亡くなり母親と子どもが相続人となった後、母親が亡くなって子どもが母親の財産を相続することを『二次相続』といいます。

まず、仮に評価額が1億円の自宅について、最初の相続のときに母親が配偶者居住権として3,000万円分、子どもが所有権として7,000万円分を相続していたとします。このとき、配偶者は配偶者控除として1億6,000万円までは非課税となるため、相続税がかかるのは子どもの7,000万円についてのみです。
そして、その母親が亡くなると、次は二次相続となります。配偶者居住権を取得していた場合は、配偶者であった母が亡くなることで権利そのものが消滅するだけのため、3,000万円を子が相続することはなく、相続税も課税されません。
しかし、もし、母親が一次相続の際に相続したのが配偶者居住権ではなく所有権だった場合、3,000万円を子が相続することになるため、3,000万円に対して相続税が課税されるのです。

節税対策であれば小規模宅地等の特例も視野に

 不動産の相続税対策といえば『小規模宅地等の特例』が有名ですが、これは原則として、配偶者または同居親族が使える特例であり、すでに自立して持ち家のある子どもは一次相続では適用されません。しかし二次相続については、別居であっても、持ち家ではなく賃貸で暮らしている子どもなら、一定の要件を満たせば特例の適用を受けることができます。
 

 節税につながりやすい配偶者居住権ですが、不動産の評価額や相続財産の額などによっては、配偶者居住権を設定せずに小規模宅地等の特例を活用した方が節税になることがあります。また、配偶者の保有財産の額によっても、一次相続と二次相続のどちらが税負担が多くなるのかが異なります。
 

 そういった面から、節税のことばかり考えてしまいそうですが、配偶者居住権は、配偶者が老後を安心して暮らせるためにあるということも忘れてはいけません。

 配偶者がいて自宅を保有している人は、専門家に相談するなどして、配偶者居住権についても検討しておきましょう。

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